フラワービジネス最先端

    • 2016年9月5日

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      ヌボー生花店[長野県長野市]
      “地域に必要とされ愛される花屋になるために”

      花の国協議会新企画、元気な花屋をめぐる旅。記念すべき第1弾は、長野県長野市のヌボー生花店代表の山﨑年起さん。花屋さんや生産地向けに講演活動も積極的に行われている山﨑さん。「地域から必要とされ、地域に愛される、圧倒的な地域一番店こそ、花屋の生きる道」を信条に、徹底した地域密着型の経営について、お聞きしました。

      ヌボー生花店代表の山﨑年起さん

      [Q]ヌボー生花店の特徴を教えて下さい。

      2016年7月時点で、6店舗展開しています。とはえい、画一的な店舗ではなく、全て形態が異なります。法人向けに特化した店、婚礼業務に特化した店、個人ギフトに特化した店など、6店舗ともテーマが異なります。また、今年の2月には、花屋がプロデュースする飲食店をテーマにしたレストランも出店しました。それぞれの店に個性があり、その個性に惹かれたお客様に愛される、必要とされる店舗を目指しています。

      [Q]山﨑さんは二代目ですよね?

      私の両親が脱サラして始めた花屋で、42年目を迎えました。ヌボーは、フランス語の“nouveau”(新しいと訳す)からとった名前で、先進的なことにチャレンジし続ける花屋になりたい、との想いが込められています。元々はスーパーへのお花の卸事業や、葬儀や婚礼での仕事花で大きくなった会社ですが、紆余曲折があり、今は小売が85%の売上を占めています。仕事花から小売への事業転換は、本当に大変でした・・・。

      年に一度全スタッフで温泉旅行に行くのが恒例行事。

      年に一度全スタッフで温泉旅行に行くのが恒例行事。

      [Q]先ほどの個性のある店舗展開はどのような発想から生まれているのでしょうか。

      小売で生き残っていかなければならない。その強い危機感の中で、いろいろやりましたが結局“人”が全てだと思っています。店長の裁量を大きくして、店長の個性を活かした店舗を作ると、社員がイキイキとして、結果売上が伸びる。花屋はある意味では接客が全て。私がお客なら暗い顔した店員、マニュアル通りな定員、花に興味がない店員からは花は買いたくありません。ですので、仕事に合わせて人を選ぶ、というより人にあわせて仕事や店舗を創りあげていく、それが私の考え方のベースになり、結果個性的な店が生まれていきました。

      [Q]ヌボー生花店として大切にしているポリシーを教えてください。

      信条は「地域で一番愛される花屋であり続ける」ですね。私は「人と人との繋がり」を大切にしたいので、ネット販売のような顔の見えない販売が好きになれない。誰々からの注文だから、頑張りたい、とか、あの人にお届けするお花だから、こんな感じにしたら喜ばれるかも、とか。そんな「心」が繋がる商売がしたい。だからこそ、地域密着型の商売にこだわっています。人口減とか若者の花離れなど、将来を悲観する意見も多いですが、地域の花の文化を継承・発展させるのが、その地域に花屋の役目だと思うので、花屋次第で十分未来は明るくできると信じています。

      長野駅前店のオープン写真。内装から陳列など店舗デザインは店長が担当。

      長野駅前店のオープン写真。内装から陳列など店舗デザインは店長が担当。

      [Q]長野といえばヌボー生花店、というイメージが業界内でも浸透していますよね。

      実際には長野県で見渡すと、当社と売上が同規模かそれ以上の花屋さんが片手はあります。それでも、ここは強く自負してますが、地域の方々から「ヌボーさんが一番」とよく言われます。結果何が良いかといえば、採用だと私は感じています。先日も中学・高校と職場体験に来て、大学でもインターンシップに来て、「ヌボーさんに就職するのが夢でした」って学生が来ました。もちろんイメージと内容にギャップがある仕事なので、辞めていく子も沢山いますが、それでも地域の大小ある企業の中で知名度が高い、というのは、採用難のいま時代、かなりのメリットです。

      [Q]任せる環境の中で、現場とのコミュニケーションはどのように図っていますか。

      正直あまり出来ていないので反省する毎日です…。が、以前と違って、SNSが浸透して日頃からコミュニケーション取りやすくなっているので、それは本当にありがたい。当社の場合は、ChatWorkという専用の社内SNSを導入して、社内の連絡事項は全てChatWorkに集約しています。あと毎日全スタッフが一日一報、私に必ず報告をしなければならいルールになっていて、それもかなり助かっています。毎日現場の声に触れていないと、経営的な判断を誤りかねないですからね。そういった仕組み作りは、得意分野かもしれません。

      法人様向けのパンフレットは多数用意し、様々な画面に応じて使い分けている。

      法人様向けのパンフレットは多数用意し、様々な画面に応じて使い分けている。

      [Q]法人営業に関して、かなり力をいれられている、とお聞きしていますが。

      法人向けのニーズの開拓余地は大きい、との考えから専門の営業マンを採用して、法人営業に力を入れ始めました。結果的にはこれは大きく成果を上げています。営業の仕方は一度注文頂いた企業へ、より花の利用の幅を広めてもらうためのフォロー営業が中心ですが、営業活動に力をいれている地方の花屋自体が少ないので、仕組み化してしっかりと継続していくと、ジャブのように業績にも影響していくと感じています。

      [Q]ネット販売は…とのことですが、ホームページはしっかりとされていますよね。

      これも法人営業の一貫です。ホームページを見て、という法人さんからの電話注文がかなり多い。特に県外の方から、長野でお届けしてくれる花屋を探しているパターンが多いですね。ネットで注文を完結させないような方々は、比較的価格も融通が聞きますし、こだわっている方が多い。県内企業でも大手企業ともなると、通常取引ある花屋があっても、ネットで検索して必要な情報を提供している花屋に発注するパターンも見受けられます。ここは今後も重点強化ポイントなので、法人様のニーズに沿ったホームページへ更にリニューアルしていく予定です。

      2016年2月に1F花屋なカフェ/2F花と緑のレストランBuranoをオープン

      2016年2月に1F花屋なカフェ/2F花と緑のレストランBuranoをオープン

      [Q]レストランはどのような経緯からオープンされたのでしょうか。

      花屋にもっと気軽に足を運んでもらいたい、それに尽きますね。花屋って用がないと来ないですからね。もっと気軽にお花の魅力に触れられる環境作りをして、花のファンを増やしていきたいと思っています。あとは・・・正直地域内で何か新しい業態を作らないと出店余地がない、という課題もあります。飲食は日々日進月歩で新しい業態が次々に生まれています。対して花屋は従来通りの店舗しかありません。そろそろ花屋も業態として新しい形が生まれていかないと、ショッピングセンター等の家主さんからテナントとしての魅力がないと判断されてしまいかねません。

      [Q]今後の展望をお聞かせください。

      ヌボー生花店としては、より地域一番店としての確固たる地位を築き、また新しい花屋を産み続けることが目標です。私個人としては、各地域に地域から必要とされ愛される花屋が、地域の花文化の継承と発展を担い続けること。その環境つくり、バックアップしていくことが役目だと思っています。ヌボー生花店という場で得た知識や経験を、周りの花屋さんにも伝播していきたい、場合によっては経営支援もしていきたい。まだまだやりたいことが山のようにあります。もっと自分自身の限界を決めず、がむしゃらにいろんなことに挑戦していきたいですね。



      (写真=山﨑年起、インタビュー・文=小川典子)

      【Shop Data】

      社名: 株式会社ヌボー生花店
      住所: 長野県長野市北尾張部715-7
      電話: 0120-878-718
      HP: http://www.nubow.co.jp/
      株式会社ヌボー生花店
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